その日、帰り際にお守りって言って、真翔は着ていたパーカーを私に着せた。

「いつも一緒だから」

「ん。真翔」

「なぁに」

「なんで私にそこまでしてくれるの。まだ出会って一ヶ月だよ」

「なんでだろうな。分かんないけど気付いたらまつりに声をかけてた。そしたらもう戻れなくなって。まつりの目が、助けてって言ってる気がして…」

同じだ。
真翔の目が信じてって強く訴えてるようで、私も離れられなくなった。

「ふふ。変なの」

「変だよな」

真翔との時間はやわらかい。
全部がどうでも良くなれる。

真翔が居ればなんにも怖くない。

「私さ、真翔に出来ること、何かないかなぁ」

「何かって?」

「私も真翔の為に何かしたい。真翔がそうしてくれたように」

ぽんって、真翔の手の平が私の頭に乗せられた。
今度は怖くなかった。
真翔は私に酷いことをしないって分かってたから。

「笑ってて」

「笑う?」

「まつりが毎日笑って生きられるようになったらそれでいいよ」

「うん…」