「武田さん。武田さんが私のことを嫌いなのは分かる。きっと小高くんのことが大事だからだよね…。私もなんで小高くんが私を助けてくれるのか分かんないよ…こうやって、武田さんに嫌われるくらいなら…構わないでって…おも…うから」

「分かってんならさっさと消えろよ」

「消えれないから…ここに居るしかない…から…だから小高くんが大事なら…やめてあげて欲し…」

「真翔を理由にするな。お前が私から逃げたいからって真翔を使うなよ。なんなんだよ、急に出てきて真翔の気を引いて。お前には何も無いくせに!可哀想なフリして真翔に近付いて!真翔は私の物なの!私から真翔を奪わないで!」

武田さんの後ろのほうから、真翔がこっちに歩いてくるのが見える。
武田さんの声に気付いたんだろう。
今の声がはっきりと聞こえていたかは分からない。

「武田さん」

私の声に気付いて、真翔があとちょっとの所で止まった。

「武田さん、親に愛されてる?」

「は…」