来世なんていらない

「死にたいの?」

死にたいのか、なんて他人に直接訊かれたのは初めてだった。

正直に言えば、死にたい。

死にたいというか、消えてしまいたい。
存在ごと丸ごと。
生きていた事実さえ無くなってしまえばいい。

「こんなことで死ねるなんて思ってないよ」

「絶対に死なないわけじゃない」

「…そこまでする勇気が無いからこんなんなの」

「そんな勇気なんかいらねーよ」

「あはは…。ね、汚いでしょ」

小高くんが傷に触れた。
一本一本の痕に、命を吹き込むみたいに丁寧に。

嫌じゃなかった。

「みんながみんな、汚くない、間違ってないって言うなんて綺麗事、俺には言えない。でも俺は、こういうことをするのは九条さんのせいじゃないってことくらいは分かる」

「そう…かな…」

「悪いのはこういうことをさせる原因だから。九条さんは悪くない」

「理由、聞かないの?」

「俺を信用してくれたら話してくれればいい。九条さんが話したくないことを聞こうとは思わない。あ、でもごめん。傷は無理矢理見ちゃったよね」

「はは…ほんとだね」

小高くんは目を伏せて、ごめんって言った。
私はまた首を横に振って、ちょっと笑った。