来世なんていらない

「んー。これでも全然足りないね」

女子達が嘆いた。

「いいよ。俺、適当に座るし」

小高くんが傍にあった、切り株みたいな所に座った。

フチが滑らかに補整されていて、全体がニスで塗装されてツヤツヤ。

一応、こういうベンチらしい。
でも座るだけの物で、お弁当を広げられるわけでも無いし、ラクそうじゃなかった。

「や、小高くん、私が…」

「なあに?」

「真翔!真翔がそっち居たら意味ないじゃん!」

私がそこに座るからって言おうとしたけれど、武田さんに遮られたからその先が言えなかった。

「九条さん、どうした?」

「よっ…呼んでるよ!」

「うん、でも」

「約束でしょ。みんなで食べるって」

小高くんはジッと私の目を見て、すぐに諦めて頭をちょっと掻きながら、みんなのほうに行った。

私は静かに、さっきまで小高くんが座っていた切り株に座った。

すぐ横にも同じ切り株がある。
でも誰も隣には来ない。

「九条さん、そこでいいの?」

「えっ…」

さっき、シートを受け取ってくれた女子に聞かれて予想外のことに慌ててしまった。

「シート、九条さんのなのに」

「いいの!みんなで使って」

出来るだけ笑ってみたけれど、私は上手に笑えていただろうか。
変じゃなかったかな。

それ以上、女子は何も言わなかった。
やっぱり変だったのかも。

それでもいいや。