「ママ、私ね、ずっと死にたいって思ってた。ここには地獄しか無いのなら、来世に期待するしかもう希望は無いって思ってた」

「ごめんなさい…」

「でもね、私、ママのこと愛したいんだよ。小さい頃の私はきっとママが大好きで、全てだった。もっとちゃんと、ママと話せばよかった。それが出来なくて、ここまで来ちゃったんだよね。ママ、お願い。一緒に生きよう?もう一度ちゃんと、親子になろうよ。私ね、来世は願わないタチなんだ」

「何、それ」

ママがちょっと笑った。
涙で顔がぐちゃぐちゃだった。

「来世は願わない。だってまた出会える保証なんて無いのに、そんなものどうして信じられるの?だったら今をやり直したい。その作業がどんなに苦しくても、ママとちゃんと親子になりたい」

「あなたのママで居ていいの?」

「私のママはママだけでしょ?私に命を与えたのはママなんだよ。まぁ、奪われそうだったけどね」

「まつり…」

「冗談。ママ、今はまだこの家に産まれてきた幸せは分からない。でも私は変わるよ。ママがまた私のことが憎くなってその手を凶器に変える時、私が止めてあげる。強くなるよ。もう一度、一緒に生きたい。いいですか」

ママは言葉は何も言わなかった。
痛いくらいに私を抱き締めて、いつまでも泣いた。

「その痣どうしたの」

ママの顔に触れたら、わんわん泣きながら「彼氏に別れてって言ったらヤラれた」って言った。

「手切れ金みたいな感じ?」

そう言ったらママは「あんた本当にいつからそんなに変わったの」って言ったけど、泣きじゃくりすぎてあんまり言葉にはなっていなかった。