眠れないまま朝が来て、学校に行く気力なんて無かったけれど、真翔に会えるチャンスがあるとすれば、学校に行くことだけだった。

真翔の家まで行く勇気は無い。
そこにお父さんも居たら…。
そう思うと恐ろしくて出来なかった。

正直、真翔が登校してると思えなかったけれど、朝礼が始まるギリギリまで待っても、やっぱり真翔は来なくて、欠席になった。

「九条さん、真翔どうしたの?」

朝礼が終わって、武田さんが私の席に来た。

「わか…んない…」

「橋本も知らないって言うのよ。九条さんまで知らないとかあり得ない。連絡来てないの?」

「来てないよ」

「ふーん。熱でも出したかな。真翔さ、中学の時、四十度くらい熱出したことあって。その時も全然連絡取れなかったのよ」

「そうなんだ…。心配だね…」

「まったく…」って苦笑いしながら、武田さんは席に戻っていった。

武田さんには昨日のことは話せなかった。
大ごとにはしないほうがいいと思った。

真翔はそれを望まないと思ったから。

だいじょうぶ。
明日になればきっと真翔に会える…

だいじょうぶって思ってなきゃ、胸がザワザワして気持ち悪くて、吐き出しそうだった。