会長は、ほんとにどこまでも気遣いができて完璧な人。 きっとまだ帰らないのに、わたしが帰りやすいような雰囲気を作ってくれる。 でも、やっぱりこのまま帰るのは悪いし……。 「えっと、それじゃあコーヒー淹れます」 とはいっても、わたしができるのはこれくらい。 「……じゃあ、お言葉に甘えてお願いしようかな」 わたしが会長のことで唯一知ってること。 会長はたぶんブラックコーヒーが苦手。 かといって、甘いのが好みっていうわけでもなさそうで。 「ど、どうぞ。ミルクは少しにしてます」 「ありがとう」