「失礼しまーす!
お昼、お先でー…」



スタッフルームにまかないを持って入ったら



「…」



苦手な背中



「す…スミマセン!それ私がさっき…」



さっき片付けようとしたダンボールを
大河原さんがスタッフルームの棚に片付けてて



「私、やります!」



まかないをテーブルに置いて
慌ててダンボールに手を伸ばしたら



あ…れ…



れ…



「わぁ!!!」



ダンボールに手が届かなくて
大河原さんに…だ…だ…だ…



「邪魔!」



大河原さんにだ…だ…だ…
抱きついてしまったような?
カタチになった?

だ…だ…抱きしめられた?



慌てて離れて



「スミマセン!!!」



謝まるしかない



「…」



「そこに片付けるんですね
わかりました
今度は私が…」



「届かねーだろ」



「え…」



「重いし、オレやるからいい」



や…優しい!

ところもあるんだ



「あ、ありがとうございます!」



「チビ!」



「え…」



「早く食べねーと、冷めるぞ」



「あ、お先です!
いただきます!」



まかないはいつも大河原さんが作ってる

今日はキムチチャーハン



「んー!おいひい!」



「黙って食え!」



「スミマセン…でも、いつもおいしくて…」



「いつもちょっとしか食べてねーじゃん」



「それは…」



「早く食って仕事戻れ、チビ!」



「はい!」



チビ…チビ…チビ…チビ…



やっぱり大河原さん
ぜんぜん優しくない!!!



みんな優しいし
まかないもおいしいのに



大河原さんは、苦手です



なのにさっき…



だ…だ…



違う違う
ちょっとバランス崩しただけ!

抱きついても抱きしめても
抱きしめられても

ない!!!



でも…

重いダンボール上に片付けようとしてたのに
バランスを崩した私を
ちょっと支えてくれた気がする



まさか!
私の思い込みか…

自分のいいように考えようとしてる



自分を傷付けないために