命令教室

「なんだと!?」


充がバッドを握りしめて勢いよく立ち上がる。


「だって、ずっと教室にいたのは充だけでしょう!?」

「俺は犯人を探すために教室に残ったんだ!」

「そんなこと言って、自分が犯人だったってケースもあるじゃん!」


罵倒し合うふたりの間に修が無理やり割って入った。


「今喧嘩してる場合じゃないだろ!」


修の怒鳴り声にふたりは肩で呼吸をしながらも黙り込む。
お互いに視線を合わせないようにそっぽを向いてる姿は、今までの関係が嘘みたいだ。


「お前はどうなんだよ」


充が修へ視線を向ける。


「ヘリがどうこう言ってたよな? 助けは来るんだろうな!?」


矛先を向けられた修がたじろぐ。
ヘリはたしかに飛んでいた。
この施設の上空を過ぎ去っていった。
でも……。


「わからない。助けは、来ないかも知れない」


修が苦しげな声で呟く。
充がハッと息を吐き出した。


「なんだよそれ。助けが来てくれるっていうから、お前を通したんだろうが!」

「ヘリはいたんだよ! だけど、私達に気がついてなかったかも」