男子たちに指示を出しながら作るカレーは想像以上に時間がかかった。
なにせ充と正志のふたりは包丁を握った経験もないと言うのだ。
潤も一生懸命手伝おうとしていたのだけれど、なにをしても失敗して、最終的には純子と未来に邪魔者扱いされて食堂を追い出されてしまっていた。


「修くん、上手だね!」


香の声が聞こえてきて視線を向けると、修が手際よくジャガイモの皮を剥いているところだった。
ジャガイモはゴロゴロしていて皮が剥きにくいけれど、修はするするとまるで手品みたいに剥いている。


「本当だ、すごく上手!」


思わず声を上げると修がこちらへ視線を向けた。


「ありがとう」


とはにかむ笑顔に心臓がドキンッと撥ねる。


「うちの家共働きだからさ、俺が料理することも時々あるんだ」

「それで手際がいいんだね」


私の言葉に修は頷く。