この煙についていけば外に出られるんじゃないかと、淡い期待を持ってしまう。
しかし屋上のフェンスまでやってきたとき、私の体は見えない何かによって突き放されていた。
玄関から出ようとしたときと全く同じ現象だ。

ふらふらと後退して立ち止まる。
やっぱりダメなんだ。
煙は施設から出ることができても、自分たちは出られない。
どこもかしこも、閉ざされている。
絶望感が胸に押し寄せてきたとき、修が私の肩に手を置いた。


「大丈夫?」

「う……ん。大丈夫」


どうにか頷いて微笑むけれど、ひきつった笑顔になってしまった。


「これだけ頑張ってるんだ。きっと助けにくるよ」


振り向くと火は大きくなっていて、煙を空へと巻き上げていたのだった。