命令教室

本気のイジメなんてできない。
そうわかっていながらも率先して嫌な役割を受け持ってくれていたんだ。
胸の奥がジンッと熱くなってくるのを感じる。


「嫌な思いをさせてごめんね」


私はイジメる側にもイジメられる側にもならなかった。
けれど、それが正解だったとは思えない。
こうしてイジメを強要されたときには、一番卑怯なことをしてしまったのかもしれないと考えてしまう。


「ううん。こんな思いをするのは普段から評価の悪い私たちだけで充分だよ」


未来はそう言って弱々しく笑ったのだった。