命令教室

「あ、あのね!」


思い切って質問しようとしたそのときだった。
ガチャッとドアが開く音がして潤が入ってきたのだ。

全員の視線が潤へ向かう。
潤はその視線に一瞬たじろいだ様子を見せたけれど、すぐにいつも通り一番隅っこの席に座ってしまった。
潤の外見だけで言えば特に変化は見られないみたいだ。


「本気で誰かをイジメるなんて、できるわけじゃないじゃん」


未来がため息まじりに言葉を吐き出す。


「小学校の頃とかだったらさ、相手の気持ちなんて考えずに石を投げたりしたかもしれない。でも、今はもう無理だよ」


左右に首をふる未来に私はその手をギュッと握りしめた。