命令教室

みんなの様子を見ている限りではなにがどうなったのか全然わからない。
それに、問題の潤が部屋に入ってくる気配がないのだ。
4人の疲れた様子。
そして潤だけが戻ってこないことから嫌な予感が胸に膨らんでいく。


「未来!」


私は椅子に座り込んでしまった未来に駆け寄った。
未来も疲れた表情を浮かべていて、私と視線がぶつかると苦笑いをした。


「潤はどうしたの?」

「大丈夫。トイレによってから戻るって言ってたから」


その返答にひとまず胸をなでおろす。


「そっか。それで、えっと……」


イジメは成功したのか?
そう聞きたかったけれど、言葉が喉の奥にひっかかって出てこない。

こんな質問するべきじゃないと、心のどこかでストッパーがかかっている。
だけど他の子たちも一様に私と同じ疑問をいだいているはずだ。
4人は戻ってきてからひとことも言葉を発さないし、誰かが聞くしかない。