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潤は元々おとなしくて陰の薄い生徒だった。
2年生に上がってから同じA組になったけれど、その声を聞いたことはほとんどんなかった。
潤が教室に入ってくるタイミングで正志がわざと肩をぶつけるなんてこと、しょっちゅうだった。
『お、わりなぁ。お前存在感がなくて、見えねぇんだよ』
教室中に響く声でそう言って大笑いをする。
そのとき一緒にいたのは決まって充、純子、未来の3人だった。
この4人はいつでも行動を共にしていた。
『いや、僕こそ、ごめん』
わざとぶつかられているとわかっていたはずなのに、潤はモゴモゴと口の中で謝罪をする。
それは余計に4人の意地悪な感情を掻き立てることになった。
『なに? 聞こえないんだけどぉ?』
未来が腕組みをして潤を見つめる。
潤の方が若干背が高い程度だから、男相手でも恐怖心なんてなかったんだろう。
なにより、未来と純子には充と正志という強い味方がついている。
女子ふたりに手を出せばどうなるか、潤もわかっていたんだろう。
だから、自分よりも力の弱い者に見下されても反論ができなかった。
潤は元々おとなしくて陰の薄い生徒だった。
2年生に上がってから同じA組になったけれど、その声を聞いたことはほとんどんなかった。
潤が教室に入ってくるタイミングで正志がわざと肩をぶつけるなんてこと、しょっちゅうだった。
『お、わりなぁ。お前存在感がなくて、見えねぇんだよ』
教室中に響く声でそう言って大笑いをする。
そのとき一緒にいたのは決まって充、純子、未来の3人だった。
この4人はいつでも行動を共にしていた。
『いや、僕こそ、ごめん』
わざとぶつかられているとわかっていたはずなのに、潤はモゴモゴと口の中で謝罪をする。
それは余計に4人の意地悪な感情を掻き立てることになった。
『なに? 聞こえないんだけどぉ?』
未来が腕組みをして潤を見つめる。
潤の方が若干背が高い程度だから、男相手でも恐怖心なんてなかったんだろう。
なにより、未来と純子には充と正志という強い味方がついている。
女子ふたりに手を出せばどうなるか、潤もわかっていたんだろう。
だから、自分よりも力の弱い者に見下されても反論ができなかった。



