命令教室

過去の出来事は返ることができないのだから。
ホワイトボードの命令が『イジメを謝罪する日』だったらどれだけ良かっただろうか。


「とにかく、また誰かが消えるよりもマシだろ」


充と正志のふたりが潤の左右に立って腕を掴む。
潤は一瞬抵抗を見せたけれど、すぐにおとなしくなった、
それは普段の学校生活でもよく見る光景だった。
潤は何度も抵抗してきたけれど、それでも最後にはふたりの力でねじ伏せられてしまう。
だから最近ではほとんど抵抗しなくなっていたのだ。


「待てよ。それはいくらなんでもないだろ」


修が4人を止めに入る。


「なんだよ。じゃあお前が潤の代わりになるか?」


充の言葉に思わず立ち上がってしまう。
修が潤の代わりにイジメられるなんて、それは私が耐えられない。
勢いで立ち上がって近づいていく私に、充が軽く笑みを浮かべた。


「お前はやめといたほうがいいらしいぞ?」


充の言葉に修が振り向いて私の姿を認めた。
けれどそれから何を言えばいいかわからなかった。
修を止めたい。