命令教室

「やってみるって、なにを?」


未来が恐る恐るという様子で質問する。


「ホワイトボードに書かれてることをだよ」

「でも、それって……」


未来はそこまで言うと口を閉じた。
これから誰かをイジメると宣言しているのと同じだ。
充の提案に潤が明らかに狼狽したのが見て取れた。
このメンバーの中で、元々いじられキャラのおとなしい生徒。


「お前らも参加しろよ」


充が未来と純子に声をかける。


「私達も!?」


未来が自分を指差して驚愕の声をあげる。
まさか、こんな場所でイジメの加担をすることになるなんて、思ってもいなかったんだろう。


「今更なに言ってんだよ。お前らだって散々潤のことバカにしてただろうが」


逃げ腰なふたりに向かって正志も強い態度だ。


「それは、そうだけど……」


未来と純子は目を見交わせて、そしてうつむいた。
今まで自分が潤をバカにしてきたことを、ここにきて後悔しているみたいだ。
だけどもう遅い。