みんな一様に暗い顔をして左右に首をふる。


「どこにもいないなんて……」


椅子に座り込んでしまった未来が呟く。
唇まで青ざめていて、今にも倒れてしまいそうだ。


「そんなはずない! 絶対どっかにいるって!」


充は苛ついた様子で教室内を歩き回り、叫ぶ。
みんな焦りと不安を抱えているのがわかった。


「そうだ。先生に電話してみればいい!」


ハッと顔を上げて発言したのは修だ。
そうだ!
どうして最初からそうしなかったんだろう!
目の前で先生が消えたことに気を取られてしまって、そんな簡単なことに気が付かなかった!

とにかく先生に連絡を取ることができればすべて解決する。
そう思うと安堵感から笑みが浮かんだ。
さっそく充がスマホを取り出して画面を操作しはじめる。

これでもう大丈夫だ。
そう思ったのもつかの間だった。


「さっきまで使えてたのに、おかしいな」


充がスマホ画面を見つめて首を傾げている。


「どうした?」