「これだね」


そのカギは先生の使っているデスクに置かれていた。
銀色のカギを手に取り、事務室を後にする。
早足で先生の部屋まで戻ってカギでドアを開けて中を確認する。
部屋の中はフローリングでベッドとテーブル、テレビなどが置かれている。
私達の部屋よりも少し広いけれど、大差はなかった。


「先生いるんですか?」


部屋の中へ向けて声をかけるけれど反応はない。
私と香は部屋に足を踏み入れて探すことにしたけれど、見る場所と言えばベッドの下か、クローゼットの中くらいしかない。
そしてそのどちらにも先生の姿はなかった。

きっと別の場所にいるんだろう。
そう考えて部屋を出る。
教室へ戻ってみると、花と彩のふたりも戻ってきていた。


「先生いた?」


「ううん、いなかった」


私の質問にふくよかな花が不安そうな表情を浮かべて左右に首をふる。
ふたりはシャワー室とトイレを確認しに行ったはずだけれど、そこにもいなかったことになる。

後は生徒の宿泊する部屋か、食堂くらいしか残されていない。
本当にどこへ行ってしまったのだろうかと不安が膨らんできたとき、他の生徒たちも次々と教室へ戻ってきた。