もう何度目かの事務所に入ると、私達は壁際にある大きな本棚へ向かった。
その本棚にはこの施設が作られた30年前からのファイルがズラリと並んでいる。


「これだ」


修が手にとったのは施設の利用者ファイルと書かれたものだった。
ファイルは30年前から去年までの、膨大な量に上る。
設立から10年後までの利用者情報が書かれている分厚いファイルを一冊手に取ると先生の机に置く。ドンッと重たい音が響いた。

修はすぐにファイルを確認していく。
私は設立10年から20年までのファイルを手に取ると、その重たさに少しよろめいてしまった。


「日記の子は小学5年生だったから、それを頼りに探すんだ」


修に言われてひとつ頷く。
ファイルを開いてみると、そこには利用年月日や利用人数、学校名が書かれていて、その下には備考欄があった。
備考欄は基本的には空欄になっていたけれど、施設内でトラブルなどがあった場合には使われていたみたいだ。


『○月✕日に停電あり。すぐに復旧』