この施設で誰かが死んだとか、そういう話はまだ聞いたことがなかった。


「私達これからどうすればいいの?」


私の声は自分でもびっくりするほど震えていた。
自分ではその震えを止めることができない。


「この子について調べよう」

「でも、名前もわからないのに、どうやって?」

「事務所にいけば、施設の利用者ファイルがあるかもしれない」


そう言って修が立ち上がる。
その足が少しふらついていた。
修も、この部屋で起きた悲惨な出来事に動揺しているんだ。
私は奥歯を食いしばって立ち上がり、修と共に部屋を出たのだった。