未来が戻ってきたとき、その顔は疲れ果てていた。
重たい体を投げ出すようにして椅子に座り、そのままうなだれる。


「今日の命令はこれで終わったな」


正志の呟きに未来が顔を上げた。


「なにそれ」


力のない声に被弾の色が隠されている。


「なんだよ。今日はもう終わっただろ。命令は1日1回だけだ」


正志はなにも間違えたことは言っていない。
けれどそれは親友を失ったばかりの未来の逆鱗に触れた。


「純子が消えたんだよ!? なのになんでそんな普通にしてられんの!?」

「消えたのは仕方ねぇだろ? 命令の通りにやった結果だ」

「仕方ない!? 人がどんどん消えていくのが仕方ないって言うの!?」


未来は絶叫して頭を抱える。


「こんなのおかしい! なんでこんなことになってんの!?」


その叫びに私は頭を殴られたようだった。
今まで自分たちがここから助かることばかりを考えて、肝心な部分が見えていなかった。


「そうだよ未来。なんでこんなことになったのか。それを突き止めれば解決するかもしれないんだよ!」