命令教室

泣きながら言ったのは純子だ。
純子も数学が苦手なのか、さっきからボロボロと涙をこぼしている。


「やらないと、誰かが消えるんだ!」


充が叫んで机を蹴飛ばす。
大きな音が教室内に響いてビクリと体を震わせた。


「暴力的なことはやめろ!」


修がすぐに止めに入る。
充はふんっと鼻を鳴らすと、純子と未来へ視線を向けた。


「お前ら3人は机に座れ」


充に命令されてもすぐには体が反応しなかった。
嫌だと全身が拒絶している。


「早くしろ!」


今度は壁を殴りつける。
ドンッと鈍い音が教室を揺るがして、私の体はようやく動き始めた。
のろのろとした動きでテストが置かれている机に座る。
事務室から持ってきたのだろう。
エンピツと消しゴムもすでに準備されていた。


「嫌だ、嫌だよ……」


隣に座った純子が小さな声で呟き続けている。


「制限時間は45分」


正志の声に時計へ視線を向ける。