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全身筋肉痛とは思えない速さで香は階段を駆け上がっていた。
一段飛ばしで、屋上へと続く階段を。
「香待って、お願い!」
必死についていくけれど追いつくことができず、なんどもコケてしまいそうになる。
ようやく追いついたときには香は屋上に出ていた。
「どうしたの、香」
肩で呼吸をしながら聞くけれど、香は答えなかった。
私に背中を向けて立っている。
屋上には風で擦れて消えかけているSOSの文字と、燃やしたプリントの残骸が残されていた。
必死に助けを求めたあの日。
結局誰にも私達の存在を知らせることはできなかった。
思い出して胸がギュッと締め付けられる。
ヘリの姿はあれ以来見ていない。
「ねぇ香。教室に戻ろうよ」
一歩近づいたとき、香がフェンスに両手をかけた。
全身筋肉痛とは思えない速さで香は階段を駆け上がっていた。
一段飛ばしで、屋上へと続く階段を。
「香待って、お願い!」
必死についていくけれど追いつくことができず、なんどもコケてしまいそうになる。
ようやく追いついたときには香は屋上に出ていた。
「どうしたの、香」
肩で呼吸をしながら聞くけれど、香は答えなかった。
私に背中を向けて立っている。
屋上には風で擦れて消えかけているSOSの文字と、燃やしたプリントの残骸が残されていた。
必死に助けを求めたあの日。
結局誰にも私達の存在を知らせることはできなかった。
思い出して胸がギュッと締め付けられる。
ヘリの姿はあれ以来見ていない。
「ねぇ香。教室に戻ろうよ」
一歩近づいたとき、香がフェンスに両手をかけた。



