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修がペースメーカーになってくれなければ私は100周走り切ることはできなかったかもしれない。
本当に、修には感謝してもしきれない気分だ。
「みんなはもう少しかかりそうだな」
グランドではまだ5人の女子生徒たちが走っている。
香もその中の1人だった。
いつの間に追い越してしまったのか覚えていないけれど、きっともう少しで走り終わるはずだ。
「頑張れ香!」
校舎へ入る前にそう声をかけたけれど、その声が届いたかどうかはわからない。
必死で前だけを見て走っている。
その姿を見るときっと大丈夫だという気持ちになれた。
修と手をつないだまま教室へ入ると、充と視線がぶつかった。
咄嗟に修と手を離してしまう。
悪いことはしていないけれど、なんだかイタズラを見つかった子供のような気持ちになってしまった。
ふたりはすでに着替えとシャワーを済ませているみたいだ。
「お前らも着替えれば?」



