命令教室

☆☆☆

まだ走っている子たちの邪魔にならない場所へ移動して、私と修は同時に倒れ込んだ。
土がひやりと冷たくて心地いい。


「やったな」


修が笑顔を向けてくる。


「うん……修のおかげ」


息を切らしながらどうにか返事をする。
大きく息を吸い込んでもまるで酸素が足りていない。
口の中はカラカラだし、倒れ込んでしまったから上体を起こすことだって難しくなってしまった。
それでも私の胸の中は達成感で包まれていた。

まさか自分にこんなことができるなんて思ってもいなかった。
これが通常の授業であれば、とっくに音を上げていたと思う。


「歩が頑張ったんだよ」


修にそう言われて頬がカッと熱くなるのを感じる。
歩と呼ばれたのは初めての経験だったけれど、すごく自然な感じだった。
もう少しこうしてふたりで横になっていたかったけれど、充と正志のふたりが近づいてきた。