命令教室

3時間走る。
体力が続くだろうか?
途端に不安が胸に膨らんでいく。

彩には歩いてもいいよと声をかけたけれど、自分だって最後の方には走れなくなっている可能性が高い。
不安が募ると自然と走るペースが早くなってきてしまう。
こんなこと早く終わりたい。
少しでも早く部屋に戻りたい。
そんな気持ちに後押しされて足が前へ前へと進んでいく。


「大丈夫か?」


後ろから声をかけられたかと思うと、修が隣にやってきた。


「まだ、大丈夫だよ」

「そうじゃなくて、いきなりペースが早くなったから気になって」

ふたりで並んで走りながらそんな会話をする。


「ちょっと……不安になっちゃって」

「不安か。そうだよな。グラウンド100周って簡単なことじゃないもんな」


修はまっすぐ前を睨みつけて走っている。