「こんなことで戦意喪失って情けないわね」

「本当にお前ら、凶悪犯罪組織のメンバーなのか？」

アルオチとモニカが呆れながら両手を上げ、降参のポーズを取り始めた下っ端を次々とロープで縛り上げ、拘束していく。二人が口にした言葉は、桜士たち全員が思ったことである。

「行こう！」

全員を拘束・もしくは気絶させた後、オリバーが言う。刹那、桜士はゾクリと背筋に寒気が走り、「待て！」とクラウディオの腕を掴んで自分の背後へ隠す。すると、オリバーが先ほど立っていた場所に銃弾が飛んできた。

「本田先生がいなかったら危なかったね。ありがとう」

クラウディオがフウッと息を吐きながら言う。リティクが「救世主だね」と言った刹那、「残念、外しちゃったわ〜」とねっとりとした声が響いた。

建物の上の方を見れば、そこには幹部三人が銃などの武器をそれぞれ構えて立っている。先ほど発砲したのはメドゥーサだ。黒いスリットの入ったドレスを着た彼女の手には、二丁の拳銃が握られている。