壮絶の川原/その2
麻衣



墨東会の人が真樹子さんに、横田の宣戦布告、我が陣突入と告げてきた

よし、横田が来るな

本田は姿が見えないから、おそらく煮え切らない南玉を呼びに行ったんだろう

はは、ご苦労なこった

夜7時半ジャストだ…!


...


来たかー!

全力疾走で土手下に向かってくるな…

まさにカモシカの急滑降だ

そんで、手にしたフェンスパイプをブン回してる

うーん…

やっぱり今日を想定していたわ、あの野郎…

...


フン、予想通りだ

私を塞ぐ20人は、カモシカの持つパイプに意識過剰になってるわ

あの連中、すでにパニック状態だろう

第一、カモシカ女の気迫に完全、呑まれてるって…、あいつら

横田競子か‥

私に眼鏡違いはなかったようだ…

”うぉー!どけー!テメーら…、どけどけー!!”

ブーン、ブーン…

バシッ!バシッ…!

”わー!コノヤローー!!”

こりゃ、カモシカ…

相当訓練積んでるって

予備隊の連中、ヤツの動きに合わせて右往左往を繰り返すだけで精一杯だわ

脚力と瞬発力が違い過ぎて、2テンポ遅れてるって

それがリズミカルにスウィングしちゃってるんじゃ、完璧カモシカに2歩先の動きを捉えられてるって

わあ…、早くも隊列に穴をあけられたわ…


...



”待ちやがれー!”

あーあ、予備隊の連中、動きはトロトロだから、決めセリフも冴えねーや…

”うるせー!テメーら、ジャマだってんだ!!”

ブイーン…、ブイーン…!

”わー、危ねー!”

”きゃー!”

アハハハ…

ものの見事に、人の盾20人を難なく突破してきたか

さすがじゃん…

私とのタイマン挑むハードル、難なくクリアだわ

まずは合格点上げるよ(笑)

ほんで…、ウエルカムだって!