壮絶の川原/その11
ケイコ
「そう…。戦ってる時は目の前の相手から目を離さないのが鉄則だが、それだけじゃダメだ。周りの状況、置かれた状況を常に察知してることが求められるんだ」
絶体絶命の時の心の持ちようか…
それは何が何でも負けないという必死の決意
その為にはどうする、今の状況でか…
冷静に何かの可能性を見つける、見つけられるという、限られたわずかな時間内での希望を捨てない心…
...
「…仮にその時、相手に攻め立てられてて絶体絶命のピンチに陥ってれば、余計にそれが頭に入っていないと、相手の攻撃から逃げだすこと、逆転のチャンスを掴むことが困難になる」
「そうか!戦ってる間も、リアルタイムでのチェンジオブペースの突破口となり得る”材料”を探り続けることが肝要なんだな!」
「そうだ。そのきっかけになるものを見逃さないってことだ。冷静であり続け、絶対負けるもんかって闘志を持ち得てれば、後はそのきっかけを探せるかどうか、そして活かせるかだよ」
「わかった。…でも、その場合、例えばどんなことをすれば…。口で言うのは簡単でも、実際には何があるんだろうかって考えると、なかなかねえ…」
「ハハハ…、端的に言っちゃえば何か武器になるものを探しあてればいいんだ。お前さ、ここで俺と取っ組み合いになった時、どうした?」
「ああ、そうだ…、たしか地面の砂掴んでお前の目にぶつけたよな。そんで、お前が目に手を当ててる間に片方の靴を脱がせて投げちゃったな…」
「うん。それでお前は、オレが靴を取りに行ってる間にさ、一目散に土手をかけ上がって俺から逃れた。…まあ、あの場での勝ち負け云々は微妙なところだが、さっきお前が口にしたチェンジオブペースに繋がったのは間違いないだろ?」
「うん、何でも”武器”にしちゃうって発想だな…。まあ、勝負の土壇場ではなかなかできることじゃないし、実際には難しいことだろうけど…」
「でもよう、そのことをクセにできてるヤツとそうじゃないヤツとは、それで勝負の分かれ目になる。とにかく何でも利用してやれって観点が大事だよ。そこの場所にあるもの、全部使えないかって考えるんだ。ポジティブに柔軟にな。戦ってる場所の立地条件もだ。地面が土なのかコンクリートなのか、周りに何か武器にできるものが備わってるかとか。極端な話、その時の天候だって材料にできる場合もあるからさ。雨や風とかも…。それはよう、戦う場所に着いた時から考えておくんだぞ。いろんな想定をすれば、自然と周りの物が目に入ってくる。それが、ギリギリの場面に直面した時、生かせるから…」
テツヤ…
...
もう限界だ…
私はついに腰が崩れ落ち、地面に片膝をついてしまった
これじゃあ、トドメに持っていかれる…
今、撥ね退けないと終る…
私はこの土壇場でテツヤの言葉を思い出した
3つ目のコツ…
チェンジオブペースの材料だ…!
戦う前、ここに来ていろいろと想定してた
いろんなことを…
冷静になれ…!
そして…
待ったなしの状況にあった私に最後の一手が目の前に降りたった…
ある意味、奇跡の瞬間だったかもしれない…
よし、それでいってやれ!
ケイコ
「そう…。戦ってる時は目の前の相手から目を離さないのが鉄則だが、それだけじゃダメだ。周りの状況、置かれた状況を常に察知してることが求められるんだ」
絶体絶命の時の心の持ちようか…
それは何が何でも負けないという必死の決意
その為にはどうする、今の状況でか…
冷静に何かの可能性を見つける、見つけられるという、限られたわずかな時間内での希望を捨てない心…
...
「…仮にその時、相手に攻め立てられてて絶体絶命のピンチに陥ってれば、余計にそれが頭に入っていないと、相手の攻撃から逃げだすこと、逆転のチャンスを掴むことが困難になる」
「そうか!戦ってる間も、リアルタイムでのチェンジオブペースの突破口となり得る”材料”を探り続けることが肝要なんだな!」
「そうだ。そのきっかけになるものを見逃さないってことだ。冷静であり続け、絶対負けるもんかって闘志を持ち得てれば、後はそのきっかけを探せるかどうか、そして活かせるかだよ」
「わかった。…でも、その場合、例えばどんなことをすれば…。口で言うのは簡単でも、実際には何があるんだろうかって考えると、なかなかねえ…」
「ハハハ…、端的に言っちゃえば何か武器になるものを探しあてればいいんだ。お前さ、ここで俺と取っ組み合いになった時、どうした?」
「ああ、そうだ…、たしか地面の砂掴んでお前の目にぶつけたよな。そんで、お前が目に手を当ててる間に片方の靴を脱がせて投げちゃったな…」
「うん。それでお前は、オレが靴を取りに行ってる間にさ、一目散に土手をかけ上がって俺から逃れた。…まあ、あの場での勝ち負け云々は微妙なところだが、さっきお前が口にしたチェンジオブペースに繋がったのは間違いないだろ?」
「うん、何でも”武器”にしちゃうって発想だな…。まあ、勝負の土壇場ではなかなかできることじゃないし、実際には難しいことだろうけど…」
「でもよう、そのことをクセにできてるヤツとそうじゃないヤツとは、それで勝負の分かれ目になる。とにかく何でも利用してやれって観点が大事だよ。そこの場所にあるもの、全部使えないかって考えるんだ。ポジティブに柔軟にな。戦ってる場所の立地条件もだ。地面が土なのかコンクリートなのか、周りに何か武器にできるものが備わってるかとか。極端な話、その時の天候だって材料にできる場合もあるからさ。雨や風とかも…。それはよう、戦う場所に着いた時から考えておくんだぞ。いろんな想定をすれば、自然と周りの物が目に入ってくる。それが、ギリギリの場面に直面した時、生かせるから…」
テツヤ…
...
もう限界だ…
私はついに腰が崩れ落ち、地面に片膝をついてしまった
これじゃあ、トドメに持っていかれる…
今、撥ね退けないと終る…
私はこの土壇場でテツヤの言葉を思い出した
3つ目のコツ…
チェンジオブペースの材料だ…!
戦う前、ここに来ていろいろと想定してた
いろんなことを…
冷静になれ…!
そして…
待ったなしの状況にあった私に最後の一手が目の前に降りたった…
ある意味、奇跡の瞬間だったかもしれない…
よし、それでいってやれ!



