「…あの子に言ってないの?」
「……なにを?」
聞かなくても分かっている。
病気のことだ。
「…雪乃ちゃんの体のこと」
少し遠慮気味に言った優真先生。
「……」
「言いたくないのは分かるけど、
あの子が雪乃ちゃんにとって大切な人なら」
「大切な人だからだよ。
…言えるわけないじゃん…」
私は先生の話を遮った。
それ以上、先生は何も話さなかった。
もちろん私も。
その後、特に何も話さず、病院につき、
いつもと同じように点滴に繋がれた。
「どこか痛いとかないですか?」
「………」
看護師がそう聞いているのに、
息をするたび心臓辺りに痛みを覚えて、
答えることができなかった。
その瞬間、モニター心電図が音を鳴らした。
「…藍原さん…?」
私の異変に気付いた看護師は、
すぐにナースコールで先生を呼んだ。
私の症状の二つ目は、胸辺りに、
呼吸ができないほどの痛みに襲われる。
慣れた手つきで、
看護師が私に酸素マスクをつけた。
それでも、うまく呼吸ができなくて、
私の意識は、だんだんと遠くなるばかりだ。
「容態は?」
その時、
優真先生が息を切らせて病室に入ってきた。
看護師が何か言っていたけど、
なにも聞き取れないまま、
私は意識を手放した。

