「ったく。あれだけ気をつけろって言ったのに。何のこのこ後をつけられてるんだよ」 裏口の玄関を入ってから、颯斗は咲の腕を離して不機嫌そうに言った。 「同居はふたりの秘密だって言っただろ」 「大丈夫。さすがに同居してるとは思われてないと思うから。っていうか、先輩は咲の後をつけてたんじゃなくて、偶然そこで会っただけだよ」 「本当に?」 「本当に。だっておウチがこのあたりだって言ってたもん」