「婚約破棄したいと思う」と言った後、泣きださないテレーゼに痺れを切らし、チラリと横目で見る。 テレーゼはテーブルに置いたカップを再び持ち、優雅に紅茶を飲んでいた。 彼女のいつもと変わらない冷静な態度に、俺は戸惑ってしまう。 そして、今まで見た事もないキラキラと輝く笑みで口にした言葉は、俺が予想していた言葉とは、はるかにかけ離れていた。 「かしこまりました……早速、破棄をいたしましょう」