やっぱりと言うべきだろうか。学校に近づくにつれ登校する生徒の姿も増えていった。
どうやら、2人は走ったおかげで遅刻を免れそうだ。

「ねぇ、あれって?」
「隣にいるの誰?彼女?」
「えぇー?!うそ?!やだぁー!」
「狙ってたのにー!!清理様ー!!」

結花の背中に何とも言えない女子生徒から発せられる怒りに満ちた言葉が突き刺さる。

「たかが1日しか登校してないのに人気なんですねー。〖清理様〗」
「その嫌みがある言い方止めてくれません?その最後の清理様って愛情よりも嫌みが大きいと思うんですけど」
「勘違いしているようなので訂正させてください。愛情なんて1ミリもありません。安心してください」

結花は、目立つことを嫌う。人前でも猫を被り、陰キャを演じる。
なのに、どうして清理の前では隠すことが出来ないのだろうか。
様々な嫌み、ストレスをこれでもかと言うだけ込めて、結花は清理を煽る。

「まぁ、そういうことにしておきましょう」
先に折れたのは清理だった。
そして、

「廊下走るなー!!」
最初からの勢いのまま教室まで行こうとした2人は先生に怒られた。
「「はーい」」
一応、2人とも学校では真面目で通しているので、しっかりと返事をする。
もちろん、その後は2人そろって走らずに教室に向かう。