ただ、自分のよりも大きくて、大きくて抗えないような未知の力に無理矢理、押さえ込まれてしまって、身動きが取れず息ができない感覚があるのみである。

情緒不安定。
これが、結花の現状だ。
誰かに助けを呼びたい位、辛くて怖くて自分が壊れてしまいそうなのに、助けを呼ぶのは駄目だと自分を制止させてしまう。きっと、この部屋の闇もその原因だろう。

もう一度、寝よう。
そう思ってもなかなか寝れずに、ベッドの中で何度も寝返りを打つ。

部屋の空気は非常に重く息が詰まりそうだ。
だから、結花はベッドから鉛のように重い自分の体を起こし、窓を開けた。

そこからは夏とは思えない涼しく爽やかな風が暗い部屋の中に流れ込んでくる。
空には満天の星空が浮かんでいる。

この時、結花には窓の外が部屋の中とは比べ物にならない程、素晴らしい異世界のように感じられた。