お恥ずかしながら城木雪音には、こんな時に頼れる友達というのが1人も…おらず…
頼れる…
『何か困ったりしたら最初に俺を頼ること』
いや、いやいやいや
でも…
当てもなく走っていたつもりではあったが、いつのまにか私はいつも下校時に鈴本くんと別れる場所にいた
この場所はあんまり好きじゃない
だってお別れする場所だから
…そこに突っ立っている私
夕食時はいつも制服のままだから…制服姿で
どうしよう
家には帰れないし
鈴本くんに頼るって言ったって…
偽物の恋人だし
こんな時…本物の恋人だったらきっと
すぐに連絡できるのだろうか
運良くポケットに入れっぱなしだったスマホを取り出す
今日の帰り、ここで、この場所で
鈴本くんが連絡先交換してなかったねと言って繋いでいた手を離して
私に連絡先をくれた
離れてしまってちょっと残念に思ったのと同時に
連絡先を交換してちょっと嬉しくなった
そんな出来事があったこの場所で
Newと書いてある鈴本くんの連絡先
トークルームを開く
そこには何もない
空白の画面
「……」


