おぼつかない足取りで家に帰る
か、楓
楓…いや、流石に呼び捨てはきつい
か、かえでく
「…楓くん」
よ、よし
これだ
これで…って
何言ってんのよ私ぃぃい!
名前呼ぶ練習なんてし始めたらそろそろ末期よ!
はぁぁぁぁ…
でもいざ呼ばなきゃいけなくなった時辿々しいとダサいから…
「悩み事ですか?」
え?
「あ、高見さん」
高見さんは家事をやってくれている家政婦の人だ
私が小さい時からずっとこの家に通っている
普段は私が戻る前に帰ってしまうのでなかなか会うことがないのだけど
「今日は遅いんですか?」
「息子の三者面談のために少し抜けていたので」
あーなるほど
「大きなため息でしたね」
ぎく
「ま、まあ…」
「ふふ、青春ですか?」
せっ
「そ、そんなんじゃありません!」
「あら、それは失礼しました」
もう!
「なんだか…久しぶりに雪音さんの表情がお変わりになっていたので」
え?
「いつもは…礼儀正しく、まるで仮面をつけたかのように大人しくしてらっしゃるので
たまにはそうやって歳相応に悩んだり苛立ったりしてもいいのではないですか?」
…
「失礼します」


