偽恋人の恋愛事情




「こ、今後このような事態がないとは言い切れませんね!」

心臓が変に暴れ出したので慌てて目を逸らす


「え?あ、そ、だね」

「何か対策を考えないとですね」

顔が酷く熱を持っている

ペチペチとほっぺたを叩く


「…俺たちの間に恋人っぽさが足りないんだと思うんだけど」

…え?

「あまりにもビジネス関係すぎるよ。登下校を一緒にしているだけであとはただの他人。俺たちはお互いに特別な関係なんだよ会長」

は、あ
そうですよね


「その空気感がなさすぎる」



「なんと!」

「そこが問題ですよ会長!」

「じゃ、じゃあそれを解決するために何をすれば…ぴえっ!?」



ものすごい変な声が出た


それもそのはず、私の手を、て、手を
鈴本くんが握ったからだ


「一般的に恋人がすることを模倣しようか」

「たったたたたてっててて」

「まずは手を繋いで帰ること。それから」


それから!?
まだあるの!?


「呼び方を改めよう」

へ?

「俺は会長じゃなくて雪音って呼ぶ」

あがっ

「雪音は鈴本くんじゃなくて、楓って呼ぶ」

は、はぁ?

「いい?」

お、おうふ

「ぜ、善処します」



「それから一番大切なこと」

ま、まだあるんですか…?

「雪音」

ひえっ


「何か困ったりしたら最初に俺を頼ること」

…え?

「恋人は支え合っていかないとね」




ふふっと優しく笑った彼の目に

確実に胸が鳴いた