偽恋人の恋愛事情




ヒュオーと風が吹き、佐賀くんと私の髪を揺らす

佐賀くんは薄い表情の中で、少しだけピクッと口の端を動かした


「…偽恋人なんてイカれた関係が発端でそういう結果になっただけなのに?」



「普通に出会ってたらきっと雪音と楓は好き合ってなかったよ」

「…」

「たまたま楓だったんだろ?楓が提案したからたまたま距離が近くなってそうなったんだろ?」


この前より冷静だ

佐賀くんの声にも表情にも闇のようなものは見えない


「当たり前じゃないですか。出会いなんて何もかも偶然ですよ。私たちの場合はそれが偽恋人だっただけです。距離が近い関係になっても、好き合わない人だっている。でも私たちは違った。
楓くんと一緒にいるだけで、その度に、彼を好きになりました」


そりゃ出会いなんて知ったもんじゃない

この出会い方でなければ違う結果になっていたかもしれない

でもそれは全て選ばれなかった可能性の話だ


「始まりや過程がどうであれ、結果私たちは恋をした。それだけの話です」