偽恋人の恋愛事情




「雪音、夏休みは明日までか」

え?

あーそうか

明後日から登校か

「はい」


「…どうする?」

え?

車のミラーから私を見る父親


「何が?」

「夏休みいっぱいは、家出していてもいいぞ」

…!

父親がすかしたような目で楓くんと私を交互に見た


あー…もしかして

私が高見さんの家にいないこと…気づいてる?


「雪音と話す機会はこの先たくさんあるからな。今は積もる話もありそうだし。好きにしなさい」




チラリと楓くんを見る

おいでよというように目を細めて笑う


「……じゃあ、あと一日だけ…家出します」


「ふふ、了解だ」

お父さんが笑った

…久々に、笑った


「え、ちょっと待ってよ父さん!これは家族との愛を育む流れでしょ?ね!雪音?そうだよね!」

にーさん…


「帰っておいでよ雪音ぇぇ!」

「あと一日だってば」

「雪音のいない家なんてやだよ!」

「兄さん、気持ち悪い」

「雪音ぇぇ!」


車の中で私たち4人の笑い声が響いた