偽恋人の恋愛事情




「…っなぜ、そんなに優しいんですか。私は最低なことをしているんですよ」

惨めで惨めで消えてしまいたいよ


「雪音さん、僕はあなたに好意を持っている男です」

…え?

「雪音さんとこうやって2人でお話しできるというだけで舞い上がれるほど単純なんです。だから雪音さんに好きな人がいるというのは少しショックですが、それでも…今日一日は死ぬほど幸せなんです」

……っ



ああ

楓くんを知らなければ

楓くんと出会っていなければ

私はこの人に恋だってできた


でも

楓くんを知ってしまったから

楓くんと出会ってしまったから

それができないんだ


楓くんが

楓くんがずっと、ずっと私の中にいる



ああ支離滅裂!

もう五里霧中だ!

どうすれば良いの!!

いっそのこと、佐賀くんのように、問答無用で私を連れ去ってはくれないだろうか

閉じ込めて、無理矢理にでも楓くんを忘れさせてくれればっ

そうすれば!!!



『雪音』



っ…


……むりだ

できない

楓くんを忘れることなんてできるはずがない


頭が…パンクしそうだ…