偽恋人の恋愛事情




「…申し訳ありません」

頭を下げる


怒っただろうか

幻滅しただろう

大事な時間をいただいたのはこっちのセリフだ


いっそのこと、壇さんがひどい人なら良かったのに

そうではなかったから

余計に辛い


私に水でもなんでもぶっかけてください



「雪音さん…お顔をあげてください」

……

「お願いします。あなたのお顔を1秒でも見ていたいんです」

……

ゆっくりあげる


「…話してくださってありがとうございます」


…頼むから貶して

怒って

優しくされると消えてしまいたくなるから



「雪音さん…好きな人がいらっしゃったんですね」



「はい」

少し眉を垂れさせて、熱っぽい目を私に向ける


「…僕は、あなたの問題に口を出せる立場でありません。何故そんな契約を結ぶことになったのかも知りません。ですが…雪音さんが苦しんでいるのは、嫌です」

なぜそんな…

「それにこのお見合いは僕らが勝手に提案して押し付けたようなものです。父は雪音さんのお父様の取引先の社長…そんな立場からこの話をすれば断りたくても断れないんじゃないかと思っていました。

なので雪音さんが最初に僕が傷つくかもしれないと言った理由は、そういうことかと思っていました」




「だからどんな理由であれ、あなたがあなたの意思でこのお見合いを承諾してくださったのであれば、僕は本望です」

……っ