「実は今日のお見合いも、僕が雪音さんのことが気になっていると知った父親が勢いでセッティングしたもので…」
ああ、そんなこと言ってたな
「すごい張り切ってるんです」
「そうなんですか」
「はい。なんかもうこっちが恥ずかしいくらいです」
「ふふふ」
壇さんと話していると笑うことが多い
今日何度目かの笑いをこぼすと、正面の壇さんはじっと私を見てフォークを置いた
「あの」
?
「なんでしょう」
思わず私もフォークを置く
「…どうして、今日はこのお見合いを受けてくださったんですか?」
……
それは
…自分のためだ
楓くんという存在から他に目を向けるために
あってはいけない感情を濁すために
…壇さんに、すごく失礼だと、わかっていながら
この先の発展を断るつもりで来ている
「……」
「言いたくなければ、良いんです」
黙りこくった私を見て笑う
…
こんな素敵な場所へ連れてきてくれたのに
こんな素敵な人なのに
なんだか申し訳なくなってくる
壇さんが時々頬を染めて、まるで愛しいものを見るように私を見ていることには気づいている
でもその度に
申し訳なさと
楓くんの記憶で胸が締め付けられる


