さあ来ました。


お見合い当日!


「雪音…なんでその服なの」

「兄さんが似合うって言ったんじゃん」

「可愛すぎて心配だよ」


結局兄の意見を無視して個人的に気に入っていた、青色のワンピースを選択

髪の毛は高見さんがお団子にしてくれた

慣れないメイクまでさせられ、自分でもちょっと嬉しくなるくらい美人さんに見える


「お姫様じゃん…攫われちゃうよ」

「攫われないから」

「雪音っ何かあったらすぐに言うんだぞ!」

「はいはい」


兄をあしらっているとスーツを着た父さんが門から出てくる



「…」

私を見て、足を止めた

「?」

思わず首を傾げる


「……似ているな」

え?

聞き取りづらい小さな声でそう言った


似てる?

何が?私?何に?



「…音葉に…そっくりだ」


音葉…って

お母さん?



「…雪音は母さんより目元が凛々しいですよ」

兄さんが見たこともないくらい優しい顔をして言った

「…そうだな…お前たち2人とも目元は私に似ているからな」

「ははは、確かにそうですね」



…なんだ

この会話

なんだ

この空気


感じたことのない

変な…空気


少し俯いていた私には

この時の父親の顔は見えなかった