そこに私への愛があるかはわからない
ただ城木家に変な人間を入れたくないからそう言ったのかも知れない
それでも…
少しだけ、それを嬉しいと思ってしまったのだ
『で、でも雪音には俺がいるでしょ?そのことは知ってるんじゃないの?』
「…お父さんは簡単には認めてくれません」
これはきっと楓くんじゃなくてもそうだ
だって楓くんのこと知りもしないでそう言うんだもん
きっと誰が相手でも同じだろう
「それに、私たちは…偽物でしょう?高校生活を安泰に送るための偽りの恋人。いつまでもこの関係に甘えるわけには…いきません」
『…』
「それに…楓くんを、関係のない人をこの城木家の泥沼に引き摺り込みたくない」
楓くんはきっと
普通に愛されて、普通に育てられた人だ
わざわざ私のように泥に塗れて捻くれる、この城木家の呪縛に巻き込みたくない
好きという気持ちだけで完結できるほど
交際というものは甘いものではないのだから


