佐賀くんの苦しそうな表情が鋭いものに変わっていく
まるで、必ず手に入れるとでも言わんばかりの捕食者のような…
時間が止まったかと思った
しかしそれは一瞬で、すぐに動き出す
ぐんっと後ろに体が引っ張られたのだ
ガバっと後ろから私の体に手が回る
そのまま抱きしめられるように佐賀くんの腕の中から引き摺り出される
「ふざけんな佐賀」
「ふざけてない本気だ」
「俺の彼女だ」
「偽物だろ」
「っ…」
佐賀くんの雰囲気が変わる
目に光がない
感情が消えて、ただその光のない目で楓くんと話しながらも私を見ている
じっと…
まるで獲物を狙う肉食動物のように
私はあまりの情報量に硬直する
後ろから抱きしめられているというのに、いつものように甘い心臓の動きではなく
確実に恐怖からくる鼓動の速さ
ただ呆然と佐賀くんを見る
「佐賀、お前そこ動くな」
「なんで。雪音返して」
「お前のじゃない」
「お前のでもない」
いつもの佐賀くんじゃない
何かに取り憑かれてるみたい
怖い、動けない


