「佐賀」
!
かなり低い声が響いて思わず体を硬くした
その声の主は楓くん
さっきまでの佐賀くんの言葉に困惑していた表情とは違い
確実に負の感情を出している
「それ以上雪音に近づくな」
「…」
私の目の前にいた佐賀くんは目だけで楓くんの方を見た
そしてゆっくりと離れる
「何?偽物なのに嫉妬でもした?」
「お前は雪音の事情も知らないでズケズケと踏み込むな」
「俺は世間一般的な意見を言っただけだよ。普通に考えて年頃の男女が一つ屋根の下なんて危ないだろ?」
「俺達はお互いの逃げ口なんだよ。雪音に余計な心配をさせるな」
…なんだかピリピリし始めた
楓くん…というより、佐賀くんがなんだか余裕がなさそうでイライラしているように見える
「雪音はどうしようもなくなって俺に頼ってきたんだ。俺がこの関係を提案した時みたいに」
「だからなんだよ。そんなの綺麗事だろ?お前が会長の事を一番に考える人間なら自分の家に来いなんて言えないと思うけど」
「もちろん問題だらけなのは分かってる。それでも雪音を1人にしたくなかった」
…楓くん
「はっ…なんだよそれ、何が偽物だよ。下心が一切ないってのか?そんな聖人があるか」
「雪音をあの家に帰すくらいなら、俺は自分の欲を押し殺してでも雪音に頼られようと思うんだよ」
「へぇ偽物の恋人なのにね。なんなんだよお前らの関係。意味わかんねぇよ」


