「……」
楓くんが私を少し驚いた顔で見ていた
しかし私と目が合うと、ふっと力の抜けた笑い方をした
「…会長にとって楓はそんなに重要な存在なの?」
「ええ…きっと」
…
な、なんだか告白でもしたような気分だ
少し恥ずかしくなって楓くんの顔が見れなかった
「それは偽恋人を頼まれたからでしょ?」
え?
「こんな関係になったからでしょ?」
さっきまでの拍子抜けしていた雰囲気とは打って変わって
冷静に真面目な顔でそんな事を言い出した佐賀くん
「たまたまそれが楓だったからだよ」
「え?」
「会長は今まであんまり他人に関わってこなかっただろ?」
そ、れはまぁ
「それが利害の一致とかで突拍子もない提案を呑んでこんな関係になって、普通の人より距離が近くなったから特別だって錯覚してるんだよ」
さ、錯覚?
「会長さ、そんな簡単に心開いちゃうのは危ないよ」
「え?」
「楓は男なんだよ?」
「おい何言ってんだよ」
佐賀くんが楓くんを無視して私に近づく
思わず後退りして距離を取る
「男の家に簡単に上がり込むのは良くないよ?」
…それは
「楓がいつ豹変するかなんてわかったもんじゃないだろ」
…
「誰か1人にのめり込むのはやめた方がいい。もっと広く視野を持ってみなよ。会長の味方は他にもいる」
佐賀くんがさらに距離を詰める
「俺だってそうだよ」
…


