「…佐賀だ」
え?
「佐賀くん?」
「もしもし?」
少しだるそうな声で楓くんが出た
「………。無理。じゃあ」
冷たく言い放ち、切ろうとしたが電話の向こうでギャーギャー言っているのがここまで聞こえた
楓くんはため息をついて再び携帯を耳に当てる
「だから無理だって。…はあ?いや今日は、てかしばらく無理」
?
「俺ん家はダメ」
え?
「いつまでかは今はわからん」
え、待って
もしかしてそれ私関係ある感じじゃない?
私が家にいるから何か都合の悪いことがある?
私も立ち上がって不安気に楓くんに近づく
「あー…ちょっと待って」
私の気配に気づいたのか、チラリとこちらを見て携帯を耳から離す
「今まで休みの前日ってよく佐賀が遊びに来てたんだよ。俺ん家一人暮らしにしてはでかいからって」
仲良いな
「佐賀なんかはあんまり家に帰りたがらないからよく転がり込んでてさ、それで今日も行きたいとか言ってきて」
家に帰りたがらない
というのはこの前の彼の話に関係あるのだろう
「流石に雪音がいる間は…」
いや
「佐賀くんなら構いませんよ」
「え?」
「彼は私たちの関係性も知っているのでうまく説明できると思いますし」
私の家庭事情も少しだけ知っている
それに、なにより
「私の勝手でこちらが上がらせていただいてるわけですから。もし私に何か気を遣っているのであれば全然その必要はありません」
「……」


