偽恋人の恋愛事情



ふと

楓くんが固まったのがわかった

ピキッと彼の骨っぽい肩に力が入った

少し、目を大きくして、じっと私をみている

思わず何も言えなくなり、同じように体を硬くする


私を覗き込んだままの体制で、普通よりも近い距離で

楓くんの呼吸音が止まる

私の呼吸音も止まる







少しだけ…楓くんが動いた

少しだけ、私との距離が縮んだ


顔同士が、少しずつ近く…なって…いく



 ♪ 〜



「!」
「!」


楓くんのスマホの着信音が部屋に響く


慌てて体を引いた

それと同時に楓くんもパッと離れる


「でん、わ」

「う、うん」


ひ、ひえぇぇぇ!!

ドキドキした!

バックバクした!!


なんだったの!?

なん、なっ、なんの時間だった今の!


動けなかったし、問いかけることもできなかった

体が動かなかった


赤くなったであろう頬に手を添えて

携帯を持って立ち上がった楓くんの後ろ姿を見る


もし…

電話が鳴らなかったら


どうなってた?



だって…もしあのまま顔が近づき続けていれば

……



ぺちっと両頬を叩いた